pato loco

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Beta-Blockers after Myocardial Infarction and Preserved Ejection Fraction

NEJMより"Beta-Blockers after Myocardial Infarction and Preserved Ejection Fraction"。今年のACCで話題になったREDUCE-AMI試験。

EF・心不全の有無に関わらずAMI後のβ遮断薬導入は現行のJCSガイドラインでもclassⅡa以上ですが、慢性期に継続することが必要であるかについてはっきりしたRCTはありませんでした。(一応前向きコホート:β blockers and mortality after myocardial infarction in patients without heart failure: multicentre prospective cohort study (bmj.com))はあったようです。)再灌流療法確立や心筋マーカーなどで様々なAMIが診断治療可能になった現在の評価として、AMI後のEF>50%患者に対してβ遮断薬あり/なしで予後を比較したRCTを実施。スウェーデン

Method:AMIで入院し、CAGを受け閉塞性のCAD(機能評価陽性含む)があり、心エコーでEF>50%を確認された患者。除外基準はβ遮断薬不適応、他の理由でβ遮断薬適応あり。primary endpointはall cause death、secondaryはall cause death,cardiovascular death,new MI,心不全/心房細動による再入院。safetyではβ副作用による入院等を評価。ITT解析。β遮断薬はメトプロロール(第一選択),ビソプロロールを使用。メトプロロールは最低100mg/day、ビソプロロールは5mg/dayに漸増が目標とされた。

Results:計5020人がenroll(β服用が2508人、非服用が2512人)され、年齢中央値は65歳。23%が女性、35%がSTEMI。半分強が1枝病変であった。95%にPCIが施行された。退院までに8割がACE-IorARB導入、スタチンは98.5%で導入された。β導入群で1年後にβ遮断薬服用していたのは8割、逆に非導入群でも1年後に14%がβ服用していた。

follow up 中央値は3.5年、primary endpointはβ服用vs非服用で7.9%vs8.3%(HR=0.96,p=0.64)で有意差なし。secondary endpointもいずれも有意差はつかなかった。safety endpointも変わらず。1年後の症状も特に差は認めなかった。


●少なくともEF>50%のAMI患者に対してβ遮断薬導入の有無は予後を変えないという結果。前述の前向きコホートでも予後改善したのは30日死亡率であり、1年、3年と年月が経つに従って差が無くなっていた。急性期は梗塞巣の大きさがどれだけか不透明な部分もあるので、今後臨床現場では急性期β遮断薬導入→半年後のエコーでEF低下ない場合、DAPTと一緒に終了という感じになっていくのでしょうか。今回の試験の残念な部分としてはアドヒアランスの悪さに言及がありました。

Beta-Blockers after Myocardial Infarction and Preserved Ejection Fraction | New England Journal of Medicine (nejm.org)