pato loco

当直の暇な時間を無為に過ごさないために作りました。

Superficial Vein Thrombosis について

Deep Vein Thrombosis(DVT)は臨床上よく遭遇しますがSuperficial Vein Thrombosis(SVT)というのも存在します。治療適応などが下記のサイトに言及がありました。

 

ACCP,ESVS,Thrombosis Canadaのガイドラインを比較してました。

・基本的に5㎝以上or分岐部に近接(3㎝以内;分岐部 sapheno-femoral or saphenopopliteal junction)であれば治療適応(Fondaparinux 2.5mg or Rivaroxaban 10mg)。45日~3か月。

・risk factorはDVTと似る。年齢・妊娠・悪性腫瘍等。

外科系の海外ガイドライン。外科ではよくみかけるのだろうか。

Superficial Vein Thrombosis: To Anticoagulate or not to Anticoagulate? • The Blood Project

Rethinking False Positive Exercise Electrocardiographic Stress Tests by Assessing Coronary Microvascular Function

JACCより"Rethinking False Positive Exercise Electrocardiographic Stress Tests by Assessing Coronary Microvascular Function"。

Background:その偽陽性率の高さなどから近年は虚血評価でclass Ⅱb等、過去の検査法になりつつある運動負荷心電図検査。しかし近年は、冠動脈に狭窄のない微小血管狭心症(ANOCA)の概念が確立されつつあり、これまでCAGだけで運動負荷偽陽性とされてきた症例も存在するのではないかと推察される。そこでANOCAにおけるExercise electrocardiographic stress testing (EST)の臨床意義について再考した。

Method狭心症状を有し、下記のプロトコルによって冠微小循環を評価したEF>50%と心機能が保たれた患者を解析。除外基準は機能評価へのintorelance、CKD(eGFR<30)、高度弁膜症、ACS・再灌流の既往、心筋症、脚ブロック等。約30日後にトレッドミルBruce法にて運動負荷行い、虚血性変化が出た群(ischemic group)、出なかった群(nonischemic group)に分けて解析した。負荷終了基準は患者の希望のみ。

※機能評価とANOCAの診断

機能評価は左前下行枝に統一。FFR>0.80のみが今回の解析対象。CFR<2.5で内皮非依存性CMDと診断。さらにAch投与を行いAchFR<1.5を内皮依存性CMDと診断した。これによりCFR<2.5 and/or AchFR<1.5をCMDと定義。

Results:2021~2023年、160人がCAG & 機能評価を受けた。CAD等で除外されたため、ESTを受けたのは122名。さらに脚ブロック、運動耐用能なしなどで解析されたのは102名。32名がischemic group、70名がnonischemic groupの判断。

性別、年齢、基礎疾患、CCSや腎機能、BNP値や内服薬に差はなかった。Typicality scoreでTypicalなものはischemic群で有意に多かった(91% vs 73%)。Hb値もischemic群で有意に低め(13±1.2 vs 13.7±1.4)。FFR・CFR・HMR値に2群間で有意差なし。CMDと診断された症例はischemic群で100%、nonischemic群で66%。AchFRの値はischemic群で有意に低かったがこれは内皮依存性の微小循環障害(AchFR<1.5)がischemic群で多かった(97% vs 56%)ことによると推察される。運動負荷時間・負荷中の狭心症状については有意差なし。HR・DPはischemic群で高めであった。ロジスティック回帰分析の結果、Hb・AchFR・HRはそれぞれ独立して運動負荷心電図の虚血性変化と関連していた。

運動負荷心電図での陽性は内皮非依存性の微小循環障害に対しては感度40%,特異度77%であったが、内皮依存性の微小循環障害に対しては感度44%、特異度97%。CMD全体では感度41%、特異度100%であった。さらに今回のESTを閉塞性のCAD(従来の狭心症)の診断として用いると偽陽性率は31%となるが、CMDとして考えると偽陽性率は0%であった

Disscusion:運動負荷検査時の虚血性心電図変化と関連していたのはHbの低さ、心拍数の高さ、そしてAchFRの低さであった。これは冠血流の低下と心筋酸素需要の増大が虚血性心電図変化をもたらすという機序に矛盾しない。今回の研究はAchFRの低下(=内皮依存性CMD)が最も強力な運動負荷時の虚血性変化の予測因子であるとした初めての報告である。アデノシンによる血管拡張はcAMPを、Achによる血管拡張はcGMPを介しており、後者のほうがより生理的なNO-cGMP-プロテインキナーゼG経路を評価しており、今回の結果につながった可能性がある。運動負荷心電図は感度は高くないが、特異度は高い。種々の検査と組み合わせる必要はあるが、冠動脈CTで陰性の胸痛症例にESTを追加で行うことでより診断への手がかりが得られる・またはANOCAの治療効果判定に使用できる可能性がある。

これからの運動負荷心電図は従来の狭心症(冠動脈病変を持つ)を診断するものではなく、冠微小循環障害を含めた包括的な評価に有用かもしれない、という論調。最近NEJMの大規模臨床試験とかよりこういうのが読んでて面白いです。複雑でとっつきにくい微小循環にも少し理解が深まったかも。ただ日本のガイドラインとは少し判定基準が違う(日本はCFR<2.0)上、日本人はspasmも含めた概念なんですよね。AchFRは攣縮誘発とは無関係で、CMDの血管内皮依存性の有無を見る検査との理解なんですけど、あってますかね。

Rethinking False Positive Exercise Electrocardiographic Stress Tests by Assessing Coronary Microvascular Function | Journal of the American College of Cardiology (jacc.org)

SIRT3 mediates the effects of PCSK9 inhibitors on inflammation, autophagy, and oxidative stress in endothelial cells

Theranostics(2023 IF 11.6)より"SIRT3 mediates the effects of PCSK9 inhibitors on inflammation, autophagy, and oxidative stress in endothelial cells"。

 

Background:

PCSK9は肝臓に発現し、LDLレセプターの除去に働いているが、内皮細胞を含む全身に発現しており、また炎症促進刺激によりPCSK9発現が誘導されることが知られている。IL-6とPCSK9の血中濃度は正の相関がある。IL-6は炎症性経路、酸化ストレス、オートファジーの誘導を介して血管系に悪影響を及ぼすことが示唆されている。しかし、PCSK9iがECにおいてIL-6によって引き起こされる有害な機序に対抗できるかどうかは不明である。SIRT3は抗炎症・抗酸化に重要な役割を果たすが、PCSK9iとの関連を検討した報告はない。

Methods and Results:Human aortic endothelial cells (TeloHAEC)にIL-6処理や Evolocumab前処理を行い、NLRP3,NF-κB等の炎症インフラマソームの上昇およびPCSK9iによりその低下を確認。免染とFACSでautophagy・ROS産生・ミトコンドリア障害においても同様の傾向であった。更にsiRNAによりSIRT3をKDすると、PCSK9iによるECの抗炎症・ミトコンドリア保護作用が緩和された。(SIRT3KDのみでもECでautophagy亢進は確認された。)

さらにCEAを受けた患者のプラーク内のIL-6、PCSK9、SIRT3、IL-1β、およびLC3B II/I比の発現を評価。PCSK9の発現はSIRT3の発現と逆相関を示し、一方IL-6、IL-1β、LC3B II/I比とは正の相関を示した。

PCSK9阻害薬にはLDL低下以外にも抗炎症・抗ROSに働いており、機序としてSIRT3が関与しているという報告。MMPってうちの研究室でもできんかな。

SIRT3 mediates the effects of PCSK9 inhibitors on inflammation, autophagy, and oxidative stress in endothelial cells (thno.org)

 

 

2024目標

年末年始はめずらしく体調崩してごろごろしてました。

とりあえず2024年の目標は

①循環器内科専門医(循内J-osler)

②筆頭論文1つ

③週1くらいで泳ぐ

④3月の10㎞レース:目標40-50分?

①,②はどっちも時間かかるので本当はどっちかに絞ったほうがいいんですが・・あえて二兎を追うかんじでいこうと思います。

2023/12/21 夜swim

@ルネサンス熊本南 寒い中頑張って泳ぎました。

up 400 SKPS

Kick 100*2 2:00 Fr/Fly 

Pull 100*2 2:00 Fr

Swim 50*2 1:00 Fr:Hard

down 100

total 1000m

週一では泳げておらず、距離もほとんど泳げていません。。

 

2023 American Heart Association Focused Update on Adult Advanced Cardiovascular Life Support

専門医要件の一つなので12月初めにACLSを受講したら、さっそくfocus update2023がCirculationに載ってたので、目を通しました。

・CPR中のルーチンでのカルシウム、メイロンの投与は推奨されない。

Caは高カリウム、Ca-blocker中毒時には投与推奨。メイロンも高カリウム時。

・緊急CAGはルーチンでは推奨されず、STEMI,ショック,電気的不安定および心筋障害の徴候及び進行する虚血が疑われる場合に行う。

・ROSC後指示が入らない意識障害患者には体温管理を推奨。32~37.5℃。

・ROSC後低体温が持続する意識障害患者は能動的、受動的どちらにおいても1時間あたり0.5℃以上復温すべきではない。

・ ictal-interictal continuumパターンの脳波を呈するROSC後患者には鎮静作用のない抗けいれん薬が診断的治療として妥当。


大きな変更点はないかんじ?体温管理の上限目標が36→37.5℃に上がったくらい。あとはECPRとかorgan donationとか記載ありました。

2023 American Heart Association Focused Update on Adult Advanced Cardiovascular Life Support: An Update to the American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care | Circulation (ahajournals.org)

Anticoagulation with Edoxaban in Patients with Atrial High-Rate Episodes

NEJMより"Anticoagulation with Edoxaban in Patients with Atrial High-Rate Episodes"。

Background:植え込み型デバイスは心房細動の発見をより容易にするが、デバイス植え込み患者ではsubclinical atrial fibrillation or atrial high-rate episodes (AHREs)とよばれる一過性の心房性頻拍エピソードが10-30%に記録されるという。脳梗塞のリスクありの患者に対してAHREに対してDOACを使用する医師もおり、DOACの有用性を明らかにするためにNOAH-AFNET6 trialを計画した。

Method:Double-blind,ランダム化比較試験。65歳以上、心電図で心房細動の記録がなく、ペースメーカー、ICD or CRTD/PまたはILRが植え込まれており、2か月以内にAHREが指摘された患者。AHREは心拍数170以上で、6分以上(上限はなし)持続したものと定義した。患者条件としては以下のうちいずれか一つ以上の脳梗塞リスクを有するかもしくは75歳以上。:心不全、高血圧、糖尿病、脳梗塞TIAの既往、心血管疾患の既往。除外基準:心電図でのAFの検出、30日以内のACSPCI、CABG。予後1年未満。DAPT中など。Edoxaban or placeboに1:1で振り分け行った。
Primary efficacy outcomeは心血管死、脳卒中、塞栓症の複合。Primary safety outcomeは全死亡、大出血の複合。

Results:Edoxaban群1270名、placebo群1266名。
平均年齢78歳、37%が女性。植え込みデバイスは8割がペースメーカーであった。AHREの持続時間の中央値は2.8時間。CHAD2VASc scoreの中央値は4点。ランダム化時点でのバイアスピリン内服の適応は25%程度にあった。

安全性への懸念と、edoxabanの無益性評価の結果に基づき、追跡期間中央値21ヵ月の時点で試験は早期に中止された。
Primary efficacy outcomeに関してはエドキサバン群では1,270例中83例(3.2%人年)に、プラセボ群では1,266例中101例(4.0%人年)に発生した(HR 0.81;95% CI 0.60~1.08;P=0.15)。Primary safety outcomeに関してはエドキサバン群では1270例中149例(5.9%人年)に、プラセボ群では1266例中114例(4.5%人年)に発生した(HR1.31;95%CI 1.02〜1.67;P=0.03)
Secondaryでは脳梗塞はedoxaban群で22名(0.9% 人年)、placebo群で27名(1.1% 人年)であった。塞栓症との複合でも25人(1.0%人年)vs38人(1.5%人年)、hazard ratio 0.65 95%CI 0.39-1.07と差はつかず。大出血は53人vs25人でhazard ratio, 2.10; 95% CI, 1.30 to 3.381とDAOC群で有意に増加。

 今回の結果からはデバイスで指摘されたAHREに関しては抗凝固療法のbenefitはなし。ただ脳梗塞の発生数が1%人年と患者背景のわりにかなり少なめだったとのこと。AHAのlatebreakingでは持続時間が長さとDOACの有効性には交互作用はなかったらしいです。デバイスで発見されたAFに関してはARTESIA trial(Apixaban for Stroke Prevention in Subclinical Atrial Fibrillation | NEJM)がAHAで発表されてましたが、こちらも読もうと思います。

Anticoagulation with Edoxaban in Patients with Atrial High-Rate Episodes | NEJM